採用戦略

新卒採用において「ペルソナ設計」とは、採用したい理想の人物像を具体的に定義するプロセスを指します。この手法は、マーケティングで用いられる「ペルソナ」の概念を採用活動に応用したもので、採用活動の効率化やミスマッチの防止に役立ちます。 目次 1.ペルソナ設計の重要性 2.ペルソナ設計の手順 3.ペルソナを具体化する 4.ペルソナを活用する 5.新卒採用で必須条件と希望条件を整理するノウハウ 6.おまけ:ペルソナ設計の注意点   1.ペルソナ設計の重要性 ⑴採用活動の効率化 ペルソナを設計することで、自社にマッチする人材を明確にし、適切なアプローチが可能になります。これにより、来てほしい人材に来てもらえるようになり、応募者の質が向上し、採用活動の効率が高まります。 ⑵ミスマッチの防止 新卒社員や若手社員の早期離職は、企業にとって大きな課題となっています。特に、入社後3年以内の離職率は高い水準で推移しており、その背景にはさまざまな要因が存在します。早期離職の主な原因として、まず「入社前後のギャップ」が挙げられます。   例えば、「裁量権のある仕事ができる」と期待していたのに、実際には雑務が中心だったというケースです。また、「職場の人間関係の問題」も大きな要因で、高圧的な上司の態度や同僚との価値観の違いにより、職場に馴染めないことがあります。さらに、「労働条件や待遇への不満」も離職理由として多く、残業の多さや休日の取りづらさから、ワークライフバランスを保てないと感じる社員がいます。   「自身の成長やキャリアへの不安」も離職を招く原因で、単調な業務ばかりでスキルアップを実感できなかったり、キャリアパスが見えないことが挙げられます。また、教育やサポート体制の不足も問題で、「業務に必要なスキルを教えてもらえない」ことや、相談できる環境が整っていない場合、孤立感が強まりやすいです。そして最後に、「業務内容のミスマッチ」も離職に直結します。   例えば、専門性を活かせると思っていた仕事が実際には単純作業だったり、希望とは異なる部署に配属されたりすることが原因となります。これらの要因が複合的に絡み合い、早期離職を招いています。 ⑶社内の認識統一 ペルソナを共有することで、採用担当者や面接官、経営陣の間で「求める人物像」に対する認識を統一できます。これにより、選考基準が明確になり、採用プロセスがスムーズに進みます。迷いがなくなる事で、効率化にもなりミスマッチも防げます。     2.ペルソナ設計の手順 以下は、新卒採用におけるペルソナ設計の一般的な手順です。 ⑴採用目的を明確化する まず、自社が新卒採用を行う目的を明確にします。たとえば、「将来のリーダー候補を育成する」「特定のスキルを持つ人材を確保する」など、採用のゴールを設定します。当社の場合は、新卒採用を通じて、カルチャーを強化するためなので徹底的に価値観や相性を見るようにしています。 ⑵市場調査を行う 新卒市場の動向や競合他社の採用活動を調査し、現実的なペルソナ設計に役立てます。26卒の新卒採用動向は、売り手市場の継続と採用活動の早期化が特徴です。2025年卒の求人倍率は1.75倍と高水準を記録しており、特に中小企業や特定業界ではさらに高い倍率が見られます。学生数の減少と企業の採用意欲の高まりにより、企業間の学生獲得競争はさらに激化する見込みです。   また、採用活動の早期化も進んでおり、2025年卒から始まった採用直結型インターンシップの普及により、夏インターンシップや「オープンカンパニー」が重要な役割を果たしています。   一方で、学生の志向は安定性を重視する傾向が強まり、金融、メーカー、ITなどの業界が人気です。オンライン選考の普及により、96%の学生がオンライン対応を希望しており、企業側もこれに対応する必要があります。   さらに、内定辞退リスクも高まっており、2025年卒の学生の平均内定保有社数は2.0社に達しました。これを受け、内定辞退を防ぐための内定者フォローがますます重要になっています。これには研修、座談会、継続的なコミュニケーションが含まれます。   採用手法では、個別採用の強化やAIの活用が進み、従来のマス型採用からターゲットを絞ったダイレクトリクルーティングが主流となりつつあります。   まとめると、26卒の新卒採用市場は求人倍率の高水準維持、早期化の加速、学生志向の変化が特徴であり、企業には柔軟かつ戦略的な対応が求められます。   ⑶求める人物像を具体化する ペルソナは、採用活動やマーケティングのターゲットを明確化するために活用される架空の人物像です。以下の手順に沿って、具体的かつ効果的なペルソナを作成します。 ①データ収集 優秀な社員の特徴や過去の採用データを分析し、成功事例と失敗事例を比較します。以下の方法でデータを収集します: ・インタビュー:現場社員や経営層に求める人材像をヒアリング。 ・データ分析:過去の応募者や社員の属性をデータベースから確認。 ・市場調査:業界や職種の求められるスキルやトレンドを把握。   ②属性の分類 ペルソナを以下の3つの観点から分類します:   デモグラフィック(人口統計学的属性) 現時点での外面的なスペックを指します。具体的には以下の項目を検討します: ・性別 ・年齢 ・住所(通勤可能圏内か) ・最終学歴・学部 ・職歴や転職回数 ・保有資格やスキル 例:大学3年生、アルバイト居酒屋3年以上、留学経験あり、英語スキルあり。   サイコグラフィック(心理的・価値観的要素) 内面的なスペックや価値観を含めた特徴を分析します: ・理想の未来(仕事・プライベート) ・趣味や好きなこと ・モチベーションアップにつながる要因 ・嫌いなものや苦手なこと ・決断のスピードや相談相手 例:「チームで成果を出すことに喜びを感じる」「挑戦を恐れない」。   ジオグラフィック(地理的要素) 在住エリアや商圏の地理的特徴を整理します: ・現在の居住地や勤務地へのアクセス ・出身地や地域特性(地元志向か転勤可能か) 例:福岡市在住、転勤可能、地元志向。   このようにペルソナを作成することで、ターゲット層に適したアプローチを検討できます。     3.ペルソナを具体化する 上記で収集した情報をもとに、ペルソナを具体的に描きます。架空の人物に名前を付けることで、よりリアルにイメージできます。 ペルソナ例:大学3年生 名前:佐藤花子(21歳)   デモグラフィック(人口統計学的属性) ・性別:女性 ・年齢:21歳 ・住所:福岡市中央区在住(大学近くの学生寮) ・学歴:福岡大学 商学部3年生 ・職歴:居酒屋のアルバイトを3年間継続(接客リーダー経験あり) ・スキル:コミュニケーション能力、基本的なPCスキル(Excel・PowerPoint)。英語スキル(TOEIC 700点、1か月の短期留学経験あり)。 ・資格:普通自動車免許、MOS資格(Word、Excel)。   サイコグラフィック(心理的・価値観的要素) ・理想の未来(仕事):チームで連携しながら、成果を上げられる職場で働きたい。いずれはリーダー職に挑戦したい。 ・理想の未来(プライベート):安定した生活を送りつつ、趣味や旅行を楽しめる時間を確保したい。 ・趣味:スポーツ観戦(サッカー、バスケットボール)、料理、カフェ巡り。 ・モチベーション:自分が努力した結果が評価される環境や、目標達成感がある仕事に取り組むこと。 ・嫌いなこと:不明瞭な指示や、目標のない作業。 ・決断のスピード:事前に相談できる相手がいると、比較的迅速に決断するタイプ。 ・相談相手:両親、大学の友人。 ・価値観:チームワークを重視し、挑戦を恐れず、自分の成長を大切にしている。   ジオグラフィック(地理的要素) ・現住所:福岡市中央区 ・出身:福岡県北九州市 ・勤務地:通勤1時間以内であれば問題なし(地元志向があり、福岡県内での就職希望が強い)。 ・転勤:大きなキャリアアップの可能性があれば全国転勤も前向きに検討可能。     4.ペルソナを活用する 作成したペルソナを以下の採用活動に活用します。まずは、自社の欲しい人を〇〇な人と言語化してください。当社では下記の様に言語化しています。 「人を、街を、モリアゲる。」を実現し、共に最高の会社を作り上げる仲間を求めています。 1.素直で前向きに行動できる人過去や未来にとらわれず、"今"に全集中できる人。 やる気と勇気を持ち、挑戦を楽しめる方を求めています! 2.人と一緒に楽しめる人人が好きで、交流を楽しめる人。みんなで支え合い、笑顔で成長できるチームを一緒に作りましょう! 3.チャレンジを楽しむ心を持つ人挑戦することで未来は変わります!失敗を恐れず、一歩一歩前進する勇気を持てる方を歓迎します。 4.遊び心と創造性を発揮できる人「ちょっとおもしろい」をプラスする発想力で、周りを笑顔にできる人。クリエイティブなアイデアを形にできる方を待っています! 5.思いやりと感謝の気持ちを大切にする人「ありがとう」を大切にし、支え合いながら優しさを広げられる人。チームの中で周囲をポジティブにできる方を歓迎します! 6.成長を楽しむワクワク感を持てる人仕事も自己成長も「楽しむ」が合言葉!楽しみながら周囲に良い影響を与え、一緒に成長できる方を求めています。 一言でまとめると素直に挑戦し、成長を楽しむ、モリアゲ心があふれる人!   人票の作成や選考基準の設定、内定者フォローといった採用プロセス全体をペルソナを基に設計することが重要です。ペルソナをしっかり設定することで、採用活動の軸が明確になり、ターゲットに刺さる求人情報や選考基準を作ることができます。   一方で、求人サイトを整えたり、合説ブースを装飾したりといった「見た目や枝葉の部分」にばかり注力するのは効果が限定的です。まずはペルソナ設定を軸に、採用活動全体の設計をしっかり固めることが、効率的で成果につながる採用を実現するためのポイントです。   採用の第一歩として、ペルソナを基にした設計に時間をかけることが、後の成功につながる鍵となります。   5.新卒採用で必須条件と希望条件を整理するノウハウ ペルソナが決まったら、最後にやってほしい事があります。それは必須条件(絶対に満たすべき条件)と希望条件(満たしていると高評価につながる条件)を整理することです。採用活動の効率化やミスマッチの防止において非常に重要です。以下に、具体的なノウハウを解説します。 ⑴必須条件と希望条件の違い ・必須条件採用するために応募者が必ず満たさなければならない条件。これを満たさない場合、採用対象外となります。例として、学歴、特定の資格、勤務地の制約などが挙げられます。 ...

大企業との競争が激化する中、中小企業が優秀な人材を確保するためには独自の採用戦略が鍵です。採用ブランディングやリファラル採用、外部サービスの活用を通じて採用の質を向上させ、迅速で丁寧な選考プロセスや内定者フォロー体制を整えることで、求職者の満足度を高められます。柔軟性と細やかな対応で自社の魅力を最大限に伝え、長期的な成長を目指しましょう。...

【2025年度版】中小企業向け採用戦略ガイド。自社の強みを活かし、競合優位性を確立して理想の人材を引き寄せるための戦略的アプローチを解説。欲しい人材像の明確化から、競合他社との差別化まで、持続可能な成長を実現するための採用のポイントを紹介します。 ...

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最近は密を避ける影響で「合同説明会」が開催しにくい状況ですね。 その中で採用がうまくいっている企業はどのような事をやっているのでしょうか?価値観が新しい「Z世代」に対してどのようにアプローチしたら良いのでしょうか?当社が行っている事も含め「デジタル時代に新卒採用が成功する3つの方法」としてまとめてみました。...

採用活動における最大の課題「ミスマッチによる早期離職」を防ぐために、理念・ビジョン・ミッションの共有や企業文化の開示が不可欠です。本記事では、ミスマッチが発生する3つの典型的な原因とその改善策を紹介します。採用の精度を高め、離職率を抑えるための具体的な方法をぜひご覧ください。...

コロナ禍で採用戦略を再考する機会が生まれ、2020年の採用シーンは劇的な変化を遂げました。リアルからオンラインへの急速なシフトが進む中、企業は新しい環境に適応するための戦略的な調整を余儀なくされています。ここでは「コロナ禍での採用戦略3つの重要ポイント」に焦点を当ててみます。 【目次】 求職者に対してメッセージを変える オンラインでも通用する伝え方を習得する 最後はリアルにこだわる まとめ 1.求職者に対してメッセージを変える 2.オンラインでも通用する伝え方を習得する 3.最後はリアルにこだわる 4.まとめ 1.求職者に対してメッセージを変える 2020年7月の有効求人倍率は1.08倍と、コロナ以前と比べて就職が難しくなり、企業にとっても状況は厳しいと言えます。しかし、このような環境だからこそ、スキルややる気に満ちた優秀な人材を採用できる可能性もあります。企業は「どんな人材を求めるか」を明確にし、従来のメッセージから大胆に変更する必要があります。 例えば弊社では、コロナ禍以前は「楽しく働きましょう。人の縁を大事にする会社です」という柔らかなメッセージでしたが、今では「ガリガリめちゃくちゃ成長したい人募集」というように、成長意欲の高い人材を引き付けるメッセージに変更しました。私自身、コロナ禍を通じて「今こそ挑戦して成長を求める人材が必要」という価値観に戻り、企業としてもその思いを反映した内容にしたのです。 このように、コロナ禍によって企業や社会全体で「やるべきことをやらなければ生き残れない」というパラダイムシフトが起きており、メッセージの再考が重要と感じています。 2. オンラインでも通用する伝え方を習得する 合説もオンラインが主流になり、企業の採用イベントもオンラインでのプレゼンが基本となりました。しかし、オンライン環境で求職者の関心を引きつけるのは簡単ではありません。画面越しの話は集中力が持続しにくく、30分もあれば視聴者が離脱してしまうことが多いです。 そのため、話し手である「社長」「役員」「人事部」などの見せ方や話し方の工夫が必要です。YouTuberの話し方を参考にするのが良い例で、オンラインでは「ゆっくり話さない」ことがポイントです。視聴者の興味を保つため、早口で話すことでテンポ良く情報を伝えることが求められます。 さらに、トークスキル以上に重要なのが、説明会の「企画内容」です。例えば、「自社の歴史」を紙芝居風や漫画で紹介したり、「1日の流れ」を昼食内容や普段行くコンビニまで具体的に話すことで、求職者に親近感やリアリティを与えることができます。従来の「業界紹介」「福利厚生」などに終始せず、工夫を凝らしたアプローチが求められます。 3. 最後はリアルにこだわる/h2> 最終的には、「リアル」の重要性を見直すべきです。コロナ禍により、面接までもオンラインで完結する企業も増えましたが、実際に働く場面や人間関係をイメージするには対面の交流が欠かせません。オンラインだけではどうしてもミスマッチが発生しやすくなります。 リアルな面接では、求職者の微細な仕草や表情から、画面越しには伝わらない情報を得られます。また、求職者にとっても、オンラインでは感じられない職場の雰囲気やコミュニケーションのスタイルを理解できるため、最終段階では「リアルの接触」を取り入れることを強くおすすめします。特に中小・ベンチャー企業では家族的な雰囲気が大切にされるため、対面での接触が大きな意味を持つでしょう。 4.まとめ 今回、「コロナ禍での採用戦略3つのツボ」として紹介した通り、まずは「求職者に対してメッセージを変える」ことで企業が求める人材像をはっきりと示し、スクリーニング効果を高めましょう。 次に「オンラインでも通用する伝え方を習得する」では、話し方のテンポやプレゼンの内容を見直し、求職者の興味を引き付ける企画を準備することが重要です。興味深い話し方と、親しみやすくユニークな企画で注目を集めましょう。 最後に、「リアルにこだわる」ことで、オンラインで伝わらない部分を補い、企業と求職者が本当の意味で理解し合える機会を設けましょう。 今は、採用環境が厳しい中でも優秀な人材を獲得するチャンスです。感染対策をしっかりと行いながら、リアルでの接触を組み合わせ、オンラインとオフラインを上手に活用して採用活動を進めていきましょう。コロナ禍であっても、強い企業メッセージと魅力的な採用アプローチで、求職者の心をしっかりとつかむことが成功の鍵となります。 元気がない今だからこそ、採用ブースや職場環境の装飾にも力を入れてみませんか?100以上の成功事例も公開中です。 面接は、細かいしぐさや表情から読み取れる事がたくさんあります。 求職者にとっても、オンラインだけだと働くイメージが見えないと思います。 必ず「接近戦」で求職者を見極めましょう。 特に中小・ベンチャー企業は家族的な雰囲気もあるので、「リアル」をお勧めします。   4.まとめ 以上「コロナ禍での採用戦略3つのツボ」をお話ししました。 「求職者に対してメッセージを変える」では、大胆に刺さるメッセージに変えてください。 「オンラインでも通用する伝え方を習得する」は、 話し方と企画内容をブラッシュアップしてください。 話し方はYouTuberから学び、早口で。企画は面白く興味が出るものにしましょう。 つまらない話し方と、つまらない企画ではそっぽ向かれます。 「最後はリアルにこだわる」では、面接は極力リアルでやりましょう。 感染対策を行い、ソーシャルディスタンスを保てば問題ありません。 今こそ優秀な人材を獲得するチャンスです!皆様の健闘祈ります!Good Luck! とは言ってもリアルに合説は行われています。 元気がない今だからこそ装飾しよう。 259以上の事例を掲載しています。   当社では、様々な実績をもとにした提案できる装飾をご提案できます。 是非、ご相談ください。 ■合説ブース装飾資料3点セットは下記よりダウンロードできます。 ...